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『荘子 内篇』(岩波文庫)書評——原典に入るなら、まずここから

2026-07-12|荘子の本棚 編集室

★★★★★4.5 / 5.0(編集室評価)

結論: 荘子の原典に入るなら、まずこの一冊です。中国哲学の泰斗・金谷治が、荘子の核である内篇を、訓読・現代語訳・注の三点セットで丁寧に導きます。全四冊のうちの第一冊で、いちばん重要な内篇(逍遥遊・斉物論ほか)だけを先に読み切れるのが利点。入門で地図を得た人が、荘子の言葉そのものに触れる最初の原典として最適です。

荘子 第一冊 内篇(岩波文庫・装丁風イメージ・当サイト作成)
書名
荘子 第一冊 内篇
訳注
金谷 治
出版社
岩波文庫
形式
原典訳注(全4冊の第1冊)
難易度
中級 ★★☆ ——訳注は親切だが、原典の分量とリズムに慣れが要る

文庫(全4冊の第1冊)/価格・在庫はAmazonの商品ページでご確認ください

どんな本か——3行で

『荘子』は、内篇・外篇・雑篇の三部からなる古代中国の思想書です。岩波文庫版はこれを全四冊に分け、本書はその第一冊として、思想の中心とされる内篇七篇を収めます。訳注者の金谷治は『論語』『老子』なども手がけた中国思想研究の大家で、本書では原文の訓読、平易な現代語訳、そして語句や背景を説く注が一体になっています。

核心——内篇にこそ荘子の思想の中心がある

荘子研究では、荘子その人の思想がもっとも色濃いのは内篇だとされます。「逍遥遊」(世界の外へ遊びに出る自由)に始まり、「斉物論」(万物斉同——あらゆる対立を等しく観る)、「養生主」「人間世」「徳充符」「大宗師」「応帝王」と続く七篇に、荘子の核心が詰まっています。本書一冊で、この最重要部分を原典として読み通せるのが最大の価値です。

大きな鳥は九万里の高さまで昇ってから南の海をめざす——小さな鳥はそれを笑うが、大と小、どちらの生き方が正しいと決められるだろうか。(「逍遥遊」冒頭の寓話について、編集部がまとめた大意)

——荘子「逍遥遊」篇・大鵬の寓話の主題(編集部による要約・大意)

金谷訳は、奇想天外な寓話を土台に置きながらも、注で思想的な背景を補うため、「話は面白いが何を意味するのか」という原典特有の戸惑いを、その場で解消しながら進めます。

読みどころ3点

1. 訓読・現代語訳・注の三点セット

原文の訓読を味わいたい人にも、意味だけ手早くつかみたい人にも対応できる構成です。まず現代語訳で筋を追い、気になった箇所だけ訓読と注に戻る、という読み方ができます。

2. 内篇だけを先に読み切れる分冊

全篇は大部ですが、本書は内篇のみ。荘子で最も重要な部分を、無理なく一冊で完走できます。ここで手ごたえを得てから外篇・雑篇へ進むかを決められるのが合理的です。

3. 定番としての信頼性

金谷治の訳注は長く読み継がれてきた定番で、荘子入門後の「最初の原典」として広く推奨されてきました。迷ったらこれを選んで外しません。

挫折ポイントと読み方

挫折の原因は主に二つです。一つは予備知識ゼロでいきなり開くこと。逍遥遊や万物斉同という枠組みを知らないと、寓話が脈絡なく感じられます。だから当サイトは入門解説を先に置きます。もう一つは頭から一字一句を全部理解しようとすること。荘子は反復と飛躍の多いテキストで、通読よりも、心に留まった篇や寓話をかみしめる読み方が向いています。まず現代語訳で内篇七篇を一周し、二周目に訓読と注へ降りていくのがおすすめです。全篇まで読みたくなったら、別訳の福永光司訳池田知久の全訳が続きを引き受けます。

編集室メモ 本書の評価は、内容構成・訳注の方針・全四冊中での位置づけの書誌調査に基づく編集室評価です(Amazonレビューの転載ではありません)。引用は本書からの逐語訳ではなく、荘子「逍遥遊」冒頭の大鵬の寓話を編集部がまとめた大意であり、金谷訳の訳文の転載を装うものではありません。正確な訳文・訓読は本書でご確認ください。内篇の訳には金谷訳のほか福永光司訳(ちくま学芸文庫)などがあり、どちらから入っても構いません。定番の安定を取るなら本書です。

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