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『ジョン・ロック 信仰・哲学・政治』書評——三つの面から、統一的に読む
★★★★☆4 / 5.0(編集室評価)
結論: ロックを研究の視点で深めたい人へ。ロック研究で世界的に知られる政治思想史家ジョン・ダンが、信仰・哲学・政治という三つの面からロックの思想を統一的に読み解く評伝的研究です。政治哲学だけを切り出すのではなく、信仰と認識論を含めた全体のなかにロックを置く視点は、原典を読んだ後にこそ効きます。少し専門的ですが、理解を一段深めてくれます。
どんな本か——3行で
本書は、ケンブリッジ学派を代表する政治思想史家ジョン・ダンによるロック論を、加藤節が訳したものです。ダンは、ロックをもっぱら近代自由主義の元祖として読む通俗的な理解を退け、信仰・哲学(認識論)・政治という三つの領域を横断して、ロックの思想を一人の人間の統一的な探究として捉え直します。ロック研究の水準を示す、定評ある一冊です。
核心——三面を統一して読む
ロックはしばしば、政治哲学は『統治二論』、認識論は『人間知性論』、宗教論は『寛容についての手紙』と、別々に読まれがちです。本書の価値は、それらをばらばらの業績ではなく、一つの世界観の三つの現れとして統一的に読むところにあります。ダンによれば、ロックの政治思想は、神が創った秩序のなかで人間はどう生き、何を知りうるかという信仰・認識論の探究と切り離せない。この統一的な視点は、原典を個別に読んだ後に立ち返ると、「なぜロックはこう論じたのか」の背景を照らし出します。思想史研究の厳密さで書かれているため通読には力が要りますが、ロック理解を通俗的なイメージから一段引き上げてくれる一冊です。
読みどころ3点
1. 通俗イメージの是正
「自由主義の元祖」という単純化を退け、より正確なロック像を得られます。
2. 三領域の統合
信仰・哲学・政治を一つの探究として読む視点が、原典の背景を照らします。
3. 研究水準に触れる
世界的なロック研究者の視点に触れ、学問としてのロック論を体験できます。
注意点
二点。第一に、本書は研究書であり、入門書ではありません。原典(少なくとも『統治二論』)を読んでから挑むのが前提です。第二に、思想史研究の文体は密度が高く、通読には集中が要ります。関心のある章から読み、全体像は入門で補うとバランスがとれます。
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