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『ジョン・ロック 神と人間との間』書評——政治哲学の祖を、地図から知る
★★★★★4.5 / 5.0(編集室評価)
結論: ロックの最初の一冊はこれです。『統治二論』の訳者でもある政治学者・加藤節が、ロックの生涯と思想を一望させる定評ある入門。自由・所有・寛容といった主題が、信仰と政治のあいだを生きた一人の思想家の探究として立ち上がります。原典に進む前に地図を持てるので、以後どの著作も「全体のどこか」に置けます。
どんな本か——3行で
本書は、ロック研究の第一人者であり岩波文庫版『統治二論』の訳者でもある著者が、ロックの生涯と思想の全体像を新書一冊にまとめた入門です。政治哲学者としてのロックだけでなく、認識論『人間知性論』の著者、そして敬虔な信仰を持つ人物としてのロックを、時代の激動(名誉革命など)のなかに置いて描きます。
核心——「神と人間との間」で読む
ロックは普通、自由主義や社会契約の政治哲学者として語られます。本書の視点の妙は、その政治思想を、信仰と理性のあいだを生きた人間の探究として捉え直すところにあります。書名「神と人間との間」が示すように、ロックにとって自然権も寛容も、神が創った人間の在り方への洞察と切り離せない。この宗教的背景を押さえると、『統治二論』の自然権論や『寛容についての手紙』の主張が、単なる政治的主張ではなく一貫した人間観から出ていることがわかります。訳者ならではの正確さで、難解になりがちなロックを一本の線で見通させてくれる。原典に入る前の地図として理想的です。
読みどころ3点
1. 生涯と時代がわかる
名誉革命など激動の時代のなかで、ロックが何と格闘したかを追えます。
2. 政治と信仰をつなぐ
自由・所有・寛容の主張が、宗教的な人間観から一貫して出ていることが見えます。
3. 訳者による正確さ
『統治二論』訳者だけに記述が精確で、次に原典を読むときの信頼できる地図になります。
注意点
二点。第一に、入門である以上、原典そのものの細部までは代替できません。地図を得たら『統治二論』を歩いてください。第二に、本書はロックの全体像を扱うため、政治哲学だけでなく認識論にも触れます。まず関心のある政治思想から追い、認識論は必要に応じて補うとよいでしょう。
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