『西田幾多郎「善の研究」を読む』書評——原典と、併走する
★★★★★4.5 / 5.0(編集室評価)
結論: 『善の研究』を腰を据えて読みたい人へ。藤田正勝が、代表作を章の構成に沿って読み解く精読の手引きです。純粋経験から実在・善・宗教へと進む原典の論理を、つまずきやすい箇所で立ち止まりながら解説。原典を隣に置いて併走させると、独力では素通りしがちな要点がはっきり見えてきます。
どんな本か——3行で
本書は、『善の研究』の構成(純粋経験・実在・善・宗教)に沿って、各部の論点を順に読み解く精読の手引きです。西田研究の第一人者である著者が、原典のどこでつまずきやすいか、その箇所で西田が何を言おうとしているのかを、テクストに即して解説します。入門で全体像を、評伝で来歴をつかんだ読者が、いよいよ原典と正面から向き合うための伴走者です。
核心——原典に併走する伴走者
『善の研究』は、短いのに難しいという厄介な本です。一文一文は静かなのに、論理の運びが独特で、気づくと迷子になる。本書はその原典に章の順に寄り添い、要所で立ち止まって道を示す伴走者として機能します。純粋経験から出発してなぜ実在論・善・宗教へと展開するのか、その必然を著者が解きほぐすので、読者は「今どこを歩いているのか」を見失いません。入門書が全体像を、評伝が来歴を与えるのに対し、本書は原典そのものの読解を支える。原典と併読することで真価を発揮する一冊です。
読みどころ3点
1. 章の順に読み解ける
原典の構成に沿うので、原典を隣に置いて併走でき、迷子になりません。
2. つまずき箇所を先回り
独力では素通りしがちな論点で立ち止まり、西田の意図を示してくれます。
3. 第一人者の精度
研究の蓄積に裏打ちされた読解で、安心して原典に踏み込めます。
注意点
二点。第一に、本書は原典と併読してこそ効きます。単独で読むと、入門書(100分de名著)と役割が重なって物足りなく感じるかもしれません。第二に、あくまで『善の研究』一冊の精読に焦点を絞った本です。生涯や後期思想まで見渡したいなら、同じ著者の評伝『生きることと哲学』が適します。
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