石飛道子『構築された仏教思想 龍樹』書評——いちばんやさしい〈空〉の入口
★★★★★4.5 / 5.0(編集室評価)
結論: 龍樹の最初の一冊はこれです。〈空〉と〈中道〉を、専門用語をかみ砕いて平易に説く、いちばんやさしい入門書。龍樹がブッダの〈縁起〉の教えをどう受け継ぎ、〈空〉という自身の論理へと組み立て直したのかを、軽い分量でたどれます。「〈空〉って結局どういうこと?」というつまずきを、最初にほどいてくれる一冊です。
- 書名
- 構築された仏教思想 龍樹——あるように見えても「空」という
- 著者
- 石飛道子
- 出版社
- 佼成出版社(シリーズ「構築された仏教思想」)
- 形式
- 電子書籍ほか
- 難易度
- 入門 ★☆☆
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どんな本か——3行で
本書は、インド仏教・中観思想を専門とする石飛道子が、龍樹の思想を初学者向けにやさしく解きほぐした薄手の入門書です。シリーズ「構築された仏教思想」の一冊として、龍樹という人物が、ブッダの教えをどう受け止め、〈空〉と〈中道〉という自分の論理へと「構築」していったのかを、平易な言葉で追います。分厚い研究書に入る前の、いちばん低い一段目にあたる本です。
核心——「あるように見えても『空』」
副題の「あるように見えても『空』という」が、本書の狙いをそのまま言い当てています。私たちの目には、机も自分も確かに「ある」ように見える。しかし龍樹に言わせれば、それらは他との関係・条件(縁起)によって仮に成り立っているだけで、それ自体で存在する固有の実体(自性)をもたない。この「あるように見えるのに、固有の実体としては空っぽ」という捉え方が〈空〉です。〈空〉は「何もない」という虚無ではなく、むしろ「実体として固まっていないからこそ、変化も慈悲も救いもありうる」という積極的な洞察だ——本書はこの一点を、初学者がつまずかないように何度も角度を変えて説明してくれます。〈空〉を虚無主義と取り違える、という龍樹入門で最も多い誤解を、最初に予防してくれるのが本書の親切です。
読みどころ3点
1. とにかく分量が軽い
薄手なので、まとまった時間がなくても読み切れます。「難しそう」という心理的ハードルが低く、龍樹への最初の一歩として踏み出しやすいのが最大の美点です。
2. 用語をかみ砕いてくれる
〈空〉〈縁起〉〈中道〉といった、龍樹を読むうえで避けて通れない用語を、日常の感覚に引きつけて説明します。ここで言葉に慣れておくと、次に読む概説がぐっと楽になります。
3. 〈空〉=虚無、という誤解を防げる
初学者が最も陥りやすいのが、〈空〉を「何もない」と取り違えることです。本書はその落とし穴を先回りしてふさいでくれるので、以後の読書で道を踏み外しにくくなります。
注意点
二点。第一に、本書はあくまで入口を作る本であり、これ一冊で龍樹を「読んだ」ことにはなりません。ここで得た勘所は、必ず定番概説(まずは中村元『龍樹』)で全体像へと広げてください。第二に、掲載のASINは電子書籍等のもので、版によって形式・入手方法が異なります。最新の版・形式・在庫はAmazonの商品ページでご確認ください。
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