『新版 資本論 第1分冊』書評——最新の校訂と訳注で、原典を読む
★★★★★4.5 / 5.0(編集室評価)
結論: 原典を最新の校訂で読みたいなら、こちらです。新日本出版社の「新版」第1分冊で、近年のマルクス・エンゲルス研究(MEGA)の成果や訳語の見直しを反映し、詳しい訳注が付くのが最大の特徴。中身は岩波・向坂訳と同じ『資本論』第1巻ですが、翻訳・版が異なります。なお訳・編集は日本共産党中央委員会社会科学研究所、版元は同党系の新日本出版社です(事実として付記)。読み比べて自分に合う版を選べます。
- 書名
- 新版 資本論 第1分冊
- 著者
- カール・マルクス
- 訳・編集
- 日本共産党中央委員会社会科学研究所
- 出版社
- 新日本出版社
- 形式
- 単行本
- 難易度
- 上級 ★★★ ——原典。訳注が読解を助ける
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どんな本か——3行で
本書は、新日本出版社が刊行した『資本論』翻訳の最新版「新版」の第1分冊です。扱う内容は第1巻の冒頭部で、岩波・向坂訳と同じ『資本論』第1巻ですが、底本の扱いや訳語、注の付け方が異なります。近年進んだマルクス・エンゲルスの原典研究(MEGA=新メガ)の成果を取り入れ、旧訳の見直しを図ったのが「新版」の眼目。本文とあわせて詳しい訳注が付き、難所での理解を支えます。
核心——新版の意義と訳注
『資本論』は、マルクスの生前・没後を通じてテキストそのものが複雑な成立史を持ちます。エンゲルスによる編集、各国語版での異同、そして20世紀以降に進んだ草稿研究——こうした蓄積を踏まえ、できるだけ確度の高いテキストと訳語で原典を提供しようとするのが「新版」の狙いです。実際に読むうえで大きいのは、詳しい訳注の存在です。難解な概念や、時代背景を知らないと意味がとりにくい箇所に注が付くため、価値形態論のような難所でも手がかりが得られます。原典の論理(商品→価値→貨幣→資本)を追う骨格は岩波版と共通ですが、訳文の言い回しや注の厚みで読み心地が変わるため、どちらが自分に合うかは実際に数ページ読み比べるのが確実です。当サイトは版の優劣を断定せず、両方を並べて提示します。
読みどころ3点
1. 訳注が難所を支える
本文だけでは越えにくい箇所に、背景や概念を補う訳注が付きます。原典に単独で挑むとき、この注の存在が読解の心細さをやわらげてくれます。
2. 最新の研究成果を反映
MEGAなど近年の原典研究を踏まえた校訂・訳語の見直しがなされています。できるだけ新しい学問的土台の上で原典を読みたい人に向いています。
3. 岩波版との読み比べができる
同じ『資本論』を別の訳で持つことで、訳語やニュアンスの違いから理解が深まります。一箇所を二訳で読み比べると、原文が何を言おうとしているかが立体的に見えます。
注意点(版と背景)
二点。第一に、背景として明記します。本書の訳・編集は日本共産党中央委員会社会科学研究所であり、版元の新日本出版社は同党と関係の深い出版社です。訳注や解説には編集主体の視点が反映されうるため、注は有用な手がかりとしつつ、解釈は一つの立場として距離を取って読むのが健全です。当サイトはその立場の是非を判断しません。第二に、本書はあくまで原典であり、入門の代わりにはなりません。全体像はNHK版・池上版で、論点はQ&Aで押さえてから臨むと、訳注の価値をより活かせます。
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