ホーム › おすすめ5選 › 本書
『「静かな人」の戦略書』書評——静かなまま力を発揮するために
★★★★★ 4.3 / 5.0(編集室評価)
結論: 会議、交渉、懇親会で消耗する人へ。26章を職場の困りごとに合わせて辞書のように引ける、実務直結の一冊です。
- 書名
- 「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法
- 著者・訳者
- ジル・チャン/神崎朗子 訳
- 出版社
- ダイヤモンド社
- 形式
- 職場戦術/Kindleあり
- 難易度
- 入門〜中級
価格・在庫はAmazonでご確認ください
どんな本か
台湾出身で「極度の内向型」を自認する著者が、プロスポーツ代理人、米州政府、国際フィランソロピーという外向型優位の現場で得た経験をまとめた職場実践マニュアルです。2022年刊、352ページ、全4部26章。仕事、人間関係、人前に出る場面、潜在能力という順に、営業、電話、交渉、会議、出張、SNS、上司の管理、リーダーシップまで扱います。日本では20万部を突破しました。
中心となる考え
内向型が外向型を演じ続けるのではなく、準備、聞く力、得意分野への集中、回復時間の確保を戦略として使うのが中心です。「会議で隠れない」「始まる前に準備する」など、場面と行動が一対一で結びつくため、悩みを具体的な手順へ変えやすい構成です。静かなリーダーシップや、正反対の相手と組む発想も扱います。
読みどころ3点
1. 内容を場面へつなぐ
PART1では核心能力を集中的に磨き、はったりに頼らない仕事の進め方を考えます。PART2では味方を増やす、もめごとをさばく、聞く力で交渉する。PART3では懇親会へ本当に行く必要があるかを判断し、行くなら事前に目的と相手を決める。読後に全部を実行するより、次の一週間に起きる場面の章だけ選ぶ使い方が合います。
2. 著者の立場を正確に読む
著者ジル・チャンは心理学者でも脳科学者でもなく、実務家です。26歳でプロスポーツ代理人となり台湾初の女性スポーツエージェントとなった経歴を持ち、米州政府勤務を経て国際フィランソロピー・アドバイザーとして活動しています。科学的な理論書ではなく、高い要求のある現場で著者が組み立てた戦術集として読むべき本です。
3. 内向型を固定ラベルにしない
強みは具体性です。電話を敵にも味方にもする、出張で力の浪費を減らす、上司を「管理」して正当な評価を得るなど、避けにくい仕事の課題が章題になります。内向型だから免除されるという発想ではなく、成果の出し方を自分の気質に合わせる点が現実的です。外向型を貶めず、異なる得意を組み合わせる視点も忘れないで読みたいところです。
留意点と読み方
科学的根拠より個人の経験が中心で、目新しいtipsが少ない、内向型を持ち上げすぎる、著者ほど実行できないという批判があります。352ページと厚いため通読より辞書的な利用向きです。内向性の理論や研究の全体像を求めるなら『内向型人間のすごい力』を先に読むほうが合います。
価格・在庫はAmazonでご確認ください