『ヒューム 人と思想』書評——一人の人間として、ヒュームに出会う
★★★★☆4 / 5.0(編集室評価)
結論: 生涯から人物に親しみたい人へ。ロングセラー「人と思想」シリーズの一冊で、ヒュームの生涯を軸に、その思想をやさしく紹介する評伝です。若くして大著を世に問い、歴史家・外交官としても活躍し、穏やかな人柄で愛されたヒュームの人間像に触れられます。理論の前に人物を好きになりたい読者に向く、もう一つの入りやすい入口です。
どんな本か——3行で
本書は、思想家の生涯と思想をコンパクトに紹介する定番シリーズ「人と思想」の一冊です。スコットランド啓蒙のただ中を生きたヒュームの生涯——若くして『人間本性論』を著し、当初の不評を経て、『人間知性研究』や『イングランド史』で名声を得ていく道のり——をたどりながら、その哲学の要点をやさしく解説します。人物と思想を無理なく結びつける入門です。
核心——生涯という入口
哲学に近づく道は、理論から入るだけではありません。一人の人間がどんな時代を生き、何を考え、どう受け入れられたのかを知ることも、立派な入口です。ヒュームは、無神論的とみなされて大学の職を得られなかった一方、社交的で温厚な人柄から「善良なるデイヴィッド」と慕われた人物でした。本書はその生涯を通して、彼の懐疑が冷笑ではなく、人間本性への穏やかで誠実なまなざしから来ていることを伝えます。この人物像を先に持っておくと、後で原典の懐疑論を読むとき、それが破壊ではなく人間理解の試みだと感じられる。評伝ならではの近さが、思想への共感を育ててくれます。
読みどころ3点
1. 生涯がよくわかる
スコットランド啓蒙のなかで生きたヒュームの人物像に、無理なく触れられます。
2. やさしい語り口
シリーズの性格上、平易に書かれており、哲学の予備知識なしで読めます。
3. 思想への共感
人柄を知ると、懐疑論が冷笑でなく誠実な探究であることが感じられます。
注意点
二点。第一に、本書は評伝であり、哲学の議論を体系的に深掘りする本ではありません。思想の全体像は『ヒューム入門』で、議論の中身は原典で受けとめてください。第二に、与えられた版は電子書籍等の形態です。形式や版はAmazonの商品ページでご確認ください。
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