ホーム › おすすめ5選 › 世界一やさしいフェミニズム入門
『世界一やさしいフェミニズム入門』書評——200年の地図を、まず手に入れる
★★★★★4.5 / 5.0(編集室評価)
結論: フェミニズムの最初の一冊はこれです。フランス革命から#MeTooまで、200年の歴史と主要な論者を新書一冊で「交通整理」してくれる通史。個別の論争に飛び込む前に全体像を持てるので、以後に読む本の理解が段違いに速くなります。法律家である著者の、論点を対立軸で整理する手つきが効いています。
- 書名
- 世界一やさしいフェミニズム入門 早わかり200年史
- 著者
- 山口真由
- 出版社
- 幻冬舎新書(2023年)
- 形式
- 新書
- 難易度
- 入門 ★☆☆ ——約4時間
Kindle版あり/価格・在庫はAmazonでご確認ください
どんな本か——3行で
18世紀末のフランス革命期から現在の#MeTooまで、フェミニズム約200年の流れを一望する新書です。ウルストンクラフトやボーヴォワール、マッキノンといった主要な論者と、その主張の勘どころを、章ごとに「波」として整理していきます。読み終えると、これから触れる論争の一つひとつが「歴史のどのあたりの話か」に置けるようになります。
核心——「波」で歴史を見る
フェミニズム初学者が最初につまずくのは、「参政権の話」「専業主婦の話」「性の話」「SNSの話」が全部いっしょくたに、しかも対立しながら押し寄せてくることです。本書の一番の効能は、それらを時代の「波」に分けて配置し直してくれることにあります。何がいつ、どんな不満から生まれ、前の波と何を争ったのか。この見取り図が頭に入ると、フェミニズムは「怒っている人たちの集まり」ではなく、200年かけて更新され続けてきた一つの長い議論に見えてきます。個々の論者への評価は他書で深めるとして、まず地図を持つ——その役割において本書は際立っています。
読みどころ3点
1. 対立軸で整理する法律家の手つき
著者は「どの立場が正しいか」を断じるより、「AはBのここに反対した」と対立の構造を示すことに徹します。読者は特定の主張を押しつけられず、自分で位置を選べます。
2. 日本のフェミニズムも一章割く
欧米史だけで終わらず、与謝野晶子ら日本の文脈にも触れます。「輸入思想」ではなく自分たちの歴史として接続できるのが、入門書として大きな親切です。
3. 固有名詞の「初出」がわかる
以後の4冊に出てくる人名・概念の多くが、本書のどこかで一度は顔を出します。ここで薄く土台を作っておくと、次からの読書の速度がまるで変わります。
注意点
二点。第一に、本書はあくまで俯瞰の通史です。個々の論者の思想を深く味わいたいなら、原典や専門書に進む必要があります——それは本書の仕事ではありません。第二に、200年を一冊に圧縮するため、各論点の扱いは要約的です。「もっと知りたい」と物足りなくなったら、それはこの本が役目を果たした合図。次の一冊へ進む番です。
価格・在庫はAmazonの商品ページでご確認ください