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アウグスティヌスの本棚

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『告白 I』(中公文庫・山田晶訳)書評——訳注で読む、もう一つの『告白』

2026-07-13|アウグスティヌスの本棚 編集室

★★★★☆4.5 / 5.0(編集室評価)

結論: これは1位『告白 上』(岩波・服部訳)と同じ作品の、別の翻訳です。中公文庫・山田晶訳は、詳細な訳注と読みやすい日本語に定評があり、原典の論理をていねいに追いたい人に向きます。岩波訳と中公訳はどちらか一方で十分——両方そろえる必要はありません。訳者の山田晶は『アウグスティヌス講話』の著者でもあり、あわせて読むと理解が深まります。

告白 I アウグスティヌス 山田晶訳(装丁風イメージ・当サイト作成)
書名
告白 I(※岩波『告白 上』と同一作品の別訳)
著者
アウグスティヌス
訳者
山田晶
出版社
中央公論新社(中公文庫)
形式
文庫
難易度
中級 ★★☆ ——訳注が手厚く論理を追いやすい

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どんな本か——3行で

本書は、アウグスティヌスの代表作『告白』の中公文庫版(山田晶訳)です。作品そのものの内容は岩波文庫版『告白 上』と同じ——放縦と悔い、母モニカ、そして回心へという、神への祈りの形をとった魂の記録です。違うのは翻訳と、それに付された解説・訳注。中公版は訳注が非常に手厚く、原文の語や背景を細かく補ってくれるのが最大の特徴です。第I巻は物語の前半を収めています。

核心——岩波訳と中公訳、どちらを選ぶか

作品が同じである以上、選書のポイントは「どの訳で読むか」の一点に尽きます。編集室の見立てはこうです。岩波文庫(服部英次郎訳)は、硬質で簡潔な文体。古典的な格調があり、価格・入手性の面でも手に取りやすい定番です。まず一冊、という人にはこちらを薦めています。一方中公文庫(山田晶訳)は、読みやすい現代的な日本語に加えて、訳注と解説が圧倒的に充実しています。「この一語はどういう含みか」「当時の背景は」といった疑問に、注が逐一答えてくれる。原典の論理をていねいに、辞書を引くように精読したい人には中公が向きます。さらに訳者の山田晶は『アウグスティヌス講話』の著者でもあるので、講話と訳を往復すると、同じ人の解釈で原典を立体的に読めるという利点があります。要するに、格調と手軽さの岩波/注の手厚さと精読の中公。どちらも名訳なので、好みで選んで構いません。

読みどころ3点

1. 訳注の圧倒的な情報量

本文の背後にある聖書の引用元、ラテン語のニュアンス、歴史的背景が、注で丁寧に補われます。独学で原典を精読したい人の心強い伴走者です。

2. 読みやすい現代的な日本語

訳文が現代の読者になじみやすく、長い祈りの文章もリズムよく追えます。古めの訳文が苦手な人には中公版が合います。

3. 『講話』との相互参照

同じ山田晶による『アウグスティヌス講話』と併読すると、訳語の選択の背後にある解釈まで見えてきます。訳と解説がひとりの碩学の中でつながる贅沢があります。

注意点(重複購入を避ける)

最も大事な注意点です。本書『告白 I』(中公・山田晶訳)と、1位の『告白 上』(岩波・服部訳)は、同じ『告白』という一つの作品の、異なる翻訳です。両方を買う必要はありません。まだどちらも持っていないなら、格調と手軽さの岩波か、注の手厚さの中公か、上の基準でどちらか一冊を選んでください。すでに岩波版を持っている人が、訳し比べや訳注目当てに中公版を買い足す——という読み方はもちろんありですが、「別の巻だと思って両方買う」ことのないように。中公版は複数分冊なので、続きは第II巻以降になります。

編集室の実読メモ 同じ古典に複数の名訳があるのは幸福なことですが、初学者が「上・下」と「I・II」を別作品と誤解して重複購入する例をしばしば見ます。本サイトが訳の違いをくどいほど明記するのはそのためです。本書評の評価は実読と書誌調査に基づきます。

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