『分析哲学 これからとこれまで』書評——全体像を俯瞰する
★★★★☆4.1 / 5.0(編集室評価)
結論: 個別トピックを学んだあとに読むと真価を発揮する一冊です。日本の分析哲学を長く牽引してきた著者が、「哲学とは何か。分析哲学とは何か。そして哲学はどこへ向かうのか」を、平明なエッセイの形で語る——点として学んできた知識が、歴史と展望のなかに位置づけられ、一本の線につながります。入門と原典のあいだをつなぐ、俯瞰の書です。
- 書名
- 分析哲学 これからとこれまで
- 著者
- 飯田隆
- 出版社
- 勁草書房(けいそうブックス)
- 形式
- 単行本/Kindle版あり
- 難易度
- 中級 ★★☆
Kindle版あり/価格・在庫はAmazonでご確認ください
どんな本か——3行で
日本における分析哲学の第一人者が、長年向き合ってきた「分析哲学とは何か」という問いをめぐって書き継いだエッセイ集です。哲学とは何か、分析哲学とは何か、そして哲学はこれからどこへ向かうのか——専門用語を最小限に、広い読者に向けて語られます。個々の技術ではなく、分析哲学という営み全体を眺めたい人のための一冊です。
核心——「ただの哲学」としての分析哲学
本書を貫くのは、分析哲学を特別な流派としてではなく「ただの哲学」——つまり、明晰さと論証を重んじる、哲学そのものの正統な営み——として捉える視点です。「分析哲学 vs 大陸哲学」といった対立図式に回収せず、分析哲学がこれまで何をしてきて、これから何をなしうるのかを、歴史と展望の両面から落ち着いて語る。入門書で個別の問題を学んだ読者が、「自分は結局、何を学んできたのか」を確かめるのにうってつけです。
読みどころ3点
1. 「これまで」——分析哲学の歩み
フレーゲやラッセルに始まる分析哲学が、どんな問題意識で展開してきたか。その歴史を当事者の視点で振り返る叙述は、入門書の断片的な知識を年表のようにつないでくれます。
2. 「これから」——哲学の行方
分析哲学、そして哲学そのものがこの先どこへ向かうのか。著者の展望は、学問の「現在地」を知りたい読者に大きな見取り図を与えます。
3. 平明さという美徳
第一人者でありながら、専門家だけに閉じない開かれた語り口。難解さで権威づけようとしない姿勢そのものが、分析哲学の精神を体現しています。
注意点
二点。第一に、体系的な教科書ではなくエッセイ集です。用語を順序立てて習得したい人は、まず『分析哲学講義』や『分析哲学入門』で土台を作ってから読むと、味わいが深まります。第二に、随所で個別の論点や固有名に触れるため、まったくの初学者だと固有名詞に足を取られることがあります。本棚の順番どおり、入門を経てから読むのが正解です。
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