『ツァラトゥストラかく語りき』書評——この本は最後に読め。ただし、必ず読め
★★★★★4.5 / 5.0(編集室評価)
結論: 最終目標として推薦します——ただし必ず最後に。「神は死んだ」「超人」「永劫回帰」、あなたが知っているニーチェの言葉はすべてここから来ています。上の4冊で階段を踏んだ読者にとって、これは「知らない話」ではなく「知っている話の完全版」になります。いきなり買うと高確率で挫折します。
- 書名
- ツァラトゥストラかく語りき
- 著者
- フリードリヒ・ニーチェ/佐々木中 訳
- 出版社
- 河出文庫(2015年)
- 形式
- 文庫(大部・全4部構成)
- 難易度
- 上級 ★★★ ——詩と逆説の文体が最大の関門
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どんな本か——3行で
山にこもった賢者ツァラトゥストラが人々のもとへ降り、「神の死」後の生き方——超人・力への意志・永劫回帰——を説いて回る、物語仕立ての哲学書です。論証ではなく詩と寓話で書かれており、ニーチェ自身が最高傑作と自負した一冊。哲学書として読んでも文学として読んでも規格外です。
全4部の地図
第1部: 超人の提示(「人間は乗り越えられるべき何ものかである」)/第2部: 力への意志の展開/第3部: 永劫回帰との対決(本書の頂上)/第4部: 高等な人間たちへの試練と笑い。
——編集室による全体整理
頂上は第3部です。「この同じ人生が無限に繰り返されるとしても、なおイエスと言えるか」という永劫回帰の問いに、ツァラトゥストラ自身が吐き気を越えて答えるまでの道行き——ここを目指して読んでください。第4部は付録的な性格が強いので、第3部まで読み切れば「読了」と言って構いません。
読みどころ3点
1. 序説「最後の人間」——現代人の肖像
冒頭の序説に出てくる「最後の人間」——小さな快楽に満足し、危険を冒さず、皆と同じであることに安心する人間像は、SNS時代の私たちの正確な似顔絵です。最初の数十頁で、この本が古典ではなく現在形であることが分かります。
2. 「三様の変化」——精神はいかに自由になるか
精神が駱駝(義務を負う)から獅子(否を言う)へ、獅子から幼子(創造する)へ変わるという第1部冒頭の寓話は、全巻の縮図です。ここだけでも繰り返し読む価値があります。
3. 佐々木中訳のリズム
本訳の特長は、声に出して読めるリズムを徹底したことです。原文が持つ音楽性——ニーチェはこの本を「音楽」と呼びました——を日本語で体感させる現行訳として、初読者への推しはこれです。
挫折ポイントと訳の選び方
挫折の原因は例外なく「論証を期待して詩に出会うこと」です。対策は二つ。第一に、解説書(竹田『ニーチェ入門』)で骨格を先に入れておくこと——当サイトの読む順番はそのために組んであります。第二に、寓話や固有名詞の意味が取れなくても止まらず、川を下るように読み進めること。詰まった断章は、姉妹サイトのツァラトゥストラ作品ページ(無料)を参照してください。訳は現行で複数あります(岩波・中公・光文社ほか)が、リズム重視なら本訳、注釈の厚さ重視なら他訳という選び分けです——どの訳でも、階段を踏んでいれば読み切れます。
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